【退職後6か月以内に対応】企業型DCからiDeCoへの移管【正社員からフリーランス・専業主婦】

企業型DC資産iDeCoへの移管方法

正社員退職時の手続きの一つに、企業型DCのiDeCoへの移管があります。

お金関係の手続きは苦手…

という方も多いかと思いますが、ご安心ください。

こちらの記事では、企業型確定拠出年金(企業型DC)のある会社を退職した時の、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」への移管手続きについてご説明します。

私自身、最近移管手続きをしましたが、順を追って行えば案外簡単でした。

みどり

筆者は元人事で、FP2級の資格を持っています

今後退職を見込んでいる方は事前に読んでおくのをお勧めします。

この記事の対象はこんな方です

企業型DCがある会社を60歳未満で退職する方で

  • 企業型DCの資産が1万5千円以上ある方
  • 退職後すぐに転職しない方(フリーランスや専業主婦へ転向する方など)
  • 転職先に企業型DCの持ち込みができない方(パートの方で企業型DCに加入できない方含む)

※その他、正社員退職後にするべき公的手続きは以下をご覧ください。

目次

退職後6か月以内に企業型DCの資産をiDeCoへ移管

退職時は色々とやることがたくさんありますが、その中でも忘れがちなのが「在職中に積み立ててきた企業型DC資産の移管」です。

企業型DC加入者のうち、退職後転職先へ企業型DC資産を持ち込める方以外は、退職後6か月以内に企業型DCの資産をiDeCoへ移管する必要があります。

iDeCoは、自分で掛金を出し、自分で運用方法を決め、その成果を自分で受け取る制度。
毎月一定額を積み立てていき、60歳以降に受け取ることができる。

6か月以内に移管しない場合は、企業型DCの資産は国民年金基金連合会に自動的に移管されるので、早めに手続きを行うことが重要です。

移管手続き:3つのSTEP

企業型DCをiDeCoに移管する手続きを見ていきましょう。

移管って、手間がかかりそう…

みどり

案外、簡単にできますよ

以下の3つのステップで移管します。

移管の3ステップ
  • 口座を開設する金融機関の検討
  • 「加入者」または「運用指図者」を選択する
  • 申し込み手続きを実施

口座を開設する金融機関の検討

iDeCoへ移管するには、銀行や証券会社などの金融機関でiDeCo専用口座を開設する必要があります。

これまでに投資経験のない方は、

よく分からないから、今使っている銀行でいいか…

と思うかもしれませんが、ちょっと待ってください!

金融機関によって手数料や商品のラインナップなどが異なるので、比較検討した上で金融機関を決めるようにしましょう。

iDeCoの口座開設先として、企業型DCの運営管理機関を会社から紹介されるケースも多いと思います。

「紹介されたから」と安易に決めるのではなく、他の金融機関も含めて検討されることをお勧めします。

みどり

私が会社からもらった移管手続きパンフレットにも、問い合わせ窓口として委託先金融機関が紹介されていました。知識がなければそこにしていたかも…

取り扱い金融機関の詳細は、iDeCo公式サイトでご確認いただけます。

金融機関を選ぶ際は以下のポイントで比較してみましょう。

金融機関選びのポイント
  • 口座管理手数料が低いこと
    • iDeCo専用口座を開設すると、「移管時手数料」と「口座管理手数料」がかかります。
    • 「口座管理手数料」には、「国民年金基金連合会への手数料」「事務委託先金融機関業務に関する手数料」「運営管理手数料」の3種類あります。
    • 「運営管理手数料」は、金融機関ごとに大きく異なります。iDeCoは長期の積立運用をするものですので、「運営管理手数料」がなるべく低い金融機関を選ぶようにしましょう。
  • 運用商品のバリエーションが多いこと
    • 金融機関によって取り扱う商品が異なります。
    • 取り扱い商品が豊富であれば、希望する商品の運用ができるので、バリエーションが多いかどうかも確認しましょう。
  • 利便性が高くサービス内容が良いこと
    • 金融機関のサイトが分かりやすかったり操作が簡単であることも大切です。
    • 問い合わせ窓口がしっかりしているかなど、サポート体制の充実度も重要なポイントになります。
みどり

私は運営管理手数料がかからなくて商品数も多い、SBI証券にしました

「加入者」または「運用指図者」を選択する

移管手続き時には、iDeCoの「加入者」となるのか「運用指図者」となるのかを選択しておく必要があります。

加入者とは

加入者とは、それまでに積み立てた資産に加え、自身で掛け金を拠出しながら運用する人を指します。

最低掛金は5000円からで、1年に1回までなら掛金の変更が可能です。

掛金は全額所得控除となるため、税制優遇を受けることができる点が大きなメリットといえるでしょう。

専業主婦などでそもそもの所得がない場合は、所得控除の恩恵を受けることができません。

また、将来iDeCoの資産を受け取る際に、一括で受け取る場合は「退職所得控除」枠が使えます。この控除枠を計算するときに勤続年数にiDeCoの加入期間も含むことができます

<退職所得控除の計算方法>

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数(最低80万円)
20年超70万円×(勤続年数-20年)+800万円

なお、移管時の手数料に加え、掛金納付の都度以下の口座管理手数料が発生します。

手数料
  • 国民年金基金連合会へ支払う手数料:105円
  • 事務委託先金融機関業務に関する手数料:66円
  • 運営管理手数料:金融機関により金額は異なる

運用指図者とは

運用指図者とは、掛け金を拠出せずに保有する資産で運用のみを継続する人を指します。

運用指図者は無料で運用ができるわけではなく、移管時の手数料に加え、以下の口座管理手数料が毎月発生することに留意しておきましょう。

手数料
  • 事務委託先金融機関業務に関する手数料:66円
  • 運営管理手数料:金融機関により金額は異なる

なお、加入者であれば退職所得控除枠の計算の際加入期間を勤続年数に含むことができましたが、運用指図者の期間は勤続年数に含むことができない点には注意が必要です。

加入者⇔運用指図者へ変更することも可能

移管時に加入者を選択していても、途中で積み立てを中止し運用指図者へ変更したり、逆に運用指図者から加入者へ変更することも可能です。

iDeCoの資産は原則60歳まで引き出すことができないので、急な資金が必要となった時に使えないことがデメリットではありますが、計画的な老後資金作りに適した制度です。

収入やライフステージの変化に合わせて柔軟に拠出額を調整でき、負担を軽減したり、積極的に資産を増やすこともできます。

「加入者」と「運用指図者」それぞれの特徴を比較し、ご自身の退職後の進路やマネープランに合わせて選択しましょう。

みどり

私は老後資金を積み立てていきたいと思い、加入者を選択しました。

申し込み手続きを実施

加入者となるか運用指図者となるかを決定したら、希望する金融機関へ申し込み手続きを行います。

金融機関によって、ネットで完結する場合と書類の送付が必要な場合があります。

退職日の翌月が属する月の翌月から6か月以内に移管処理が完了している必要がありますが、移管が完了するまでには1か月から2か月ほど時間がかかるので、早めに手続きをしておきましょう。

みどり

私はネット上で申し込み手続きが完了しました。想像していたよりもスムーズで簡単でした!

Q&A

移管しない場合のデメリット

移管しないとどうなるの?

6か月以内に移管完了しなかった場合、DC積立金は国民年金基金連合会に自動的に移管されます。

国民年金基金連合会に自動的に移管されるとどうなるの?

以下のデメリットが生じます。

  • 運用が行えず、積立も出来ないため資産を増やせない
  • 老齢給付金の受取開始時期が遅れる可能性あり
    • 自動移管されたままでは年金原資の引き出しができないため、給付請求するには、iDeCoへの資産移管の手続きが必要です。
      また、iDeCoの老齢給付金を60歳から受け取るには、確定拠出年金の通算加入者等期間が10年以上なければなりません。自動移管されると通算加入者等期間に参入されないため、iDeCoの受取時期が遅くなる可能性があります。
  • 60歳以降に老齢給付金を受け取る場合、一度iDeCoへ移管する必要がある
  • 各種手数料が自身の積立金から差し引かれる
    • 自動移管される際や、自動移管中など、各種手数料が差し引かれます。資産は増えてはいかないので、減る一方となります。
発生時期手数料
自動移管されるとき4,348円
(特定運営管理機関:3,300円・国民年金基金連合会:1,048円)
自動移管中の管理手数料(月)
※自動移管4か月後から発生
52円(特定運営管理機関)
自動移管後に企業型DCに移管するとき1,100円(特定運営管理機関)
自動移管後に個人型DCに移管するとき3,929円
(特定運営管理機関:1,100円・国民年金基金連合会2,829円)
脱退一時金を受け取るとき4,180円
(特定運営管理機関)
※2023年7月時点

条件に合致すれば移管せずに解約できる

移管をせずに解約することはできないの?

原則解約はできませんが、資産額が15,000円以下の場合、以下をすべて満たす場合に、給付金(脱退一時金)を受け取ることができます。

  • 企業型DCおよび個人型DCの加入者でも運用指図者でもないこと
  • 加入者資格喪失日の翌月から起算して6か月以内であること

そのほか、資産額が15,000円以上の場合は上記2点の条件に加え、以下をすべて満たす場合に給付金(脱退一時金)を受け取ることができます。

  • 60歳未満であること
  • 国民年金保険料免除者、外国籍の海外居住者等のiDeCoに加入できないものであること
  • 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと
  • 障害給付金の受給権者でないこと
  • 企業型DCの加入者及びiDeCoの加入者として掛け金を拠出した期間が5年以内であることまたは、資産額が25万円以下であること

退職後は早めに手続きを!

iDeCoへの移管手続きを放置してしまい、自動移管されている方は100万人以上いるとのことです。

自動移管されると、資産は減っていく一方ですので、もったいないですよね。

『退職後6か月以内に手続きを』と聞くと、

退職後落ち着いてからでいいか

と思いがちですが、退職後は思っているよりも早く時間が過ぎていきます。

みどり

早めに方針を決めておけば、あとは手続きするだけです!

せっかく在職中に貯めた資産、損のないように移管しておきましょう。

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