退職後はフリーランスの予定だけど、いつ退職するのがいい?
転職先が決まっている場合と違って、退職後にフリーランスや専業主婦への転向を考えている方は退職日をいつにするか悩みますよね。
本記事では、元人事で、現在フリーランスとして働いている筆者が、退職におすすめな月と日にちをご紹介します。
結論としては、12月30日退職がおすすめです。
どうせ退職するなら、よりお得な退職日を選びましょう!
【退職月のおすすめ】12月
正社員からフリーランスや専業主婦へ転向する方や、退職後に求職活動を始める方へは
12月に退職するのをおすすめします。
その理由は以下4点。
- 賞与を受け取れる
- 確定申告の必要がない
- 会社も来期の人員計画を立てやすい
- 新年1月から心機一転、新しいことを始められる
賞与は一般的に、夏季ならば6月下旬から7月下旬、冬季は12月に支払われますので、ここでは12月に賞与を受け取れる前提でご説明します。
賞与を受け取れる
賞与支給月である12月に退職すると、賞与分収入が増えることになります。
賞与をもらってから辞めるってなんだか申し訳ない気がする…
そんなことはありません!
それまでしっかり働いてきたのであれば、賞与をもらうことに引け目を感じる必要はないです。
せっかくがんばってきたのに、もらわないで辞めるのはもったいないですよ。
ただし、会社によっては
- 支給日前に退職すると賞与が受け取れない
- 退職が決まっている場合は賞与の支給なし/減額
などのルールが決まている場合もあるため、事前に会社の規定は確認するようにしましょう。
確定申告をする必要がない
会社員のメリットは、会社が年末調整をしてくれるということです。
会社員は、毎月の給料から概算の所得税を天引きされています。
「年末調整」とは、1年間の所得税額を算出し、これまで天引きしてきた所得税と比較して過不足を精算する手続きのことです。
※「年収が2000万円以上」など、年末調整の対象外となる場合もあります。
年末調整は11月~12月にかけて行われ、年末調整を行う前に退職してしまった場合は、ご自身で確定申告を行う必要があります。
また、年末調整は12月末日に在籍している従業員が対象であるため、12月末日以外に退職した従業員は基本的には対象外。
しかし、12月の給与を既に受け取っていたり、転職先が決まっておらず同年中に他の給与を受け取る見込みがない場合など、年間の給与所得額が確定している場合は例外的に年末調整の対象となります。
12月末日以外での退職の場合、年末調整の対象になるか念のため人事総務へ確認しておきましょう。
確定申告はなかなか労力がいりますので、できれば会社で年末調整をしてもらいましょう。
会社も来期の人員計画を立てやすい
会計年度が4月始まりの場合、翌年度の事業計画を策定しはじめるのは年明け1月頃から。
会社はその事業計画に合わせて人員計画を作り、4月に向けて異動や昇降格、採用計画も策定します。
つまり、12月時点の退職については、翌年度の人員計画に組み込みやすく会社としても助かるのです。
新年から心機一転、新しいことを始められる
12月に退職すると、1月から新生活がスタートします。
少しゆっくりしてから、頭を切り替えて新しいことを始めることができますよ。
お正月休みで、これまでの会社員生活を労いましょう。
【退職日のおすすめ】月末か月中(月末以外)かはケースにより異なる
毎月の給与から天引きされている社会保険料(健康保険、厚生年金保険、介護保険)。
月末退職か月中退職かで、この社会保険料の天引き額が変わってきます。
少し、社会保険料の仕組みを見てみましょう
社会保険料は標準報酬月額から算出され、日割りではなく月割りで支払います。
「標準報酬月額」とは、従業員に支払われる給料から算定される額。
健康保険の場合は第1~50等級までの50段階、厚生年金保険の場合は第1~第32等級の32段階に区分されています。
そして、社会保険料の支払い義務が発生するのは、資格喪失日を含む月の前月まで。
資格喪失日は退職した日の翌日となるため、退職日が月の途中ならば当月の社会保険料の支払いは免除されます。
また、一般的に社会保険料は、前月分が当月の給与から天引きされますが、月末に退職する場合、最後の給与で2か月分が天引きされます。
たとえば、10月の月中退職と月末退職を例にとってみると、以下のようになります。
社会保険料の支払いが少なくなるから、月中退職がお得ってことね!
ちょっと待って、一概にはそうとは言えません
国民皆保険制度を採用している日本では、退職翌日には別の保険に加入する必要があります。
月途中での退職の場合、退職月は社会保険から国民健康保険や国民年金などに切り替わり、すべて自己負担で支払うことになります。
そのため、退職後の保険料を加味して決めることをおすすめします。
※退職後の公的な手続きについては以下に詳細を記載していますので、良ければご覧ください。
社会保険料の仕組みが分かったところで、ケース別におすすめを見ていきましょう。
配偶者の社会保険上の扶養に入る場合:月中退職がお得
退職後、会社員や公務員である配偶者の社会保険上の扶養に入る場合、退職後は健康保険や国民年金保険料の負担がありません。
そのため、退職月分の社会保険料が天引きされない月中退職がお得となります。
配偶者の社会保険上の扶養に入れない場合:どちらでもOK(試算して決めましょう)
配偶者の社会保険上の扶養に入れない場合、現在の社会保険料と退職後の保険料を比較して、月末にするか月中にするかを選択します。
退職後の健康保険の選択肢としては、「現在の健康保険を任意継続する」か「国民健康保険に加入する」ことになります。
在職中の保険料は会社と折半しているため退職後の負担額のほうが高くなるケースが多いですが、保険料は人によって異なりますので、実際に試算して決めることをお勧めします。
なお、国民年金保険料は一律で決まっていますので、最新の保険料は日本年金機構のHPをご覧ください。
賞与支給月に退職する場合:月中退職がお得
配偶者の扶養に入れる・入れないにかかわらず、知っておいていただきたいことがあります。
賞与支給月に月中退職する場合、賞与にかかる社会保険料が天引きされない
ということです。
社会保険料は賞与からも引かれていることをご存じでしょうか?
賞与の社会保険料は、標準賞与額に保険料率をかけて算出します。
賞与にかかる社会保険料は、賞与支給月の末日に在籍している場のみ控除されます。
そのため、賞与支給月と同月の月中で退職する場合、賞与から社会保険料が引かれず、その分手取り金額が増えます。
一方、月末に退職する場合は、通常どおり賞与から社会保険料が引かれます。
たとえば賞与支給日が12月10日の場合、
- 退職日が12月30日であれば、賞与から社会保険料は引かれない。
- 退職日が12月31日であれば、賞与から社会保険料が引かれる。
ということです。
過去の賞与明細で、社会保険料控除欄を見てみてください
賞与にかかる社会保険料は高めなので、かなりお得です。
賞与支給月に退職する場合は、このあたりも考慮してみるとよいかと思います。
月中退職の注意点
ケースによってはお得になる月中退職ですが、以下2点についても考慮した上で決めましょう。
- 厚生年金保険加入期間が1か月分減るため、将来受け取る年金額もその期間分だけ減る
- 基本給が日割り計算されて通常より少なくなる
【結論】12月30日退職が一番お得
退職月と日にちで見てきましたが、金銭面や手続きを加味すると12月30日退職が一番お得なのではないかと思います。
- 賞与支給あり
- 給与から12月分の社会保険料が天引きされない
- 賞与から社会保険料が天引きされない
- 確定申告が不要(年末調整してもらえる場合) など
ただし、最終的な退職日は
- 会社の退職における規則
- 仕事の引継ぎ期間
- 有休取得期間
- 退職後の計画
など、様々なことを加味した上で決めましょう。
人生で大きな決断の一つとなる退職。
後悔しない退職日を選択してくださいね!