正社員退職後にしないといけない手続きは何だろう?
退職前後は色々とバタバタして、手続きを忘れてしまいそうで心配ですよね。
先日正社員を退職しリーランスとして働き始めましたが、退職して気づいたことは、
正社員への転職でないと、手続きがたくさんある
ということ。
退職し正社員以外の働き方(フリーランスやパートなど)をしたいと考える皆さんに、退職後に必要となる主な手続き5つを、元人事でFPの資格も持つ筆者が、実際に手続きした経験をベースにご紹介します。
- 健康保険
- 国民年金
- 雇用保険(失業手当)
- 住民税
- 確定申告
5つもあると面倒に感じる方も多いと思いますが、一つ一つは案外やってみると案外簡単にできますので、一つずつ対応していってくださいね。
健康保険
退職した翌日から、在職中に使用していた健康保険証は使えなくなります。
公的な健康保険に入っていないと医療費が高額になりますので、退職後早めに手続きを行いましょう。
以下3つの選択肢からご自身で選んで健康保険に加入することになります。
- 家族(夫など)の扶養に入る
- 家族の勤務先の加入する健康保険に被扶養者として加入できます。
- 加入していた会社の健康保険を任意継続する
- 退職前に加入していた健康保険組合に最長2年間加入できます。
- 国民健康保険に加入する
3つの選択肢の比較
健康保険の3つの選択肢について、条件や保険料などを以下にまとめました。
選択肢 | 条件 | 保険料 | 申請期限 | 手続き先 |
家族の扶養 | ・本人(被扶養者)の年間収入見込みが130万円未満 など ※健康保険によって異なる | ・家族(扶養者)に生計を維持されているなし | 健康保険により異なる | 家族の所属する健康保険窓口 |
任意継続 | ・被保険者期間が、資格喪失日の前日までに継続して2ヵ月以上ある ・資格喪失日から20日以内に申請する | 在職中の約2倍 ※保険料は2年間固定 | 退職後20日以内 | 退職前の会社の健康保険窓口 |
国民健康保険 | 医療保険制度に加入していない人 | 前年度の所得に応じて市区町村の基準で計算 | 退職後14日以内 | 市区町村の国保窓口 |
おすすめは「家族の扶養」
3つも選択肢があると、どれに加入すべきか迷いますよね。
おすすめは、「家族の扶養に入る」です。
保険料がかからないので、最もお得となります。
加入条件に当てはまりそうな方は、一度ご家族の健康保険窓口へ扶養の条件や手続きについて確認してみましょう。
配偶者の扶養になる場合、国民年金の保険料も不要になります
ただし、後述する「雇用保険(失業手当)」を受給する場合は家族の扶養に入れない場合もあるので、事前にご家族の健康保険へ確認してください。
また、扶養に入れる条件に当てはまっている場合でも、パート先で健康保険に加入する場合は被扶養者とはなれませんのでご注意ください。
「任意継続」か「国民健康保険」かで迷ったら保険料が安い方を選ぶ
扶養に入れない場合は、任意継続か国民健康保険を選択することになります。
任意継続と国民健康保険、どっちがお得?
結論としては、
保険料を試算して、直近の保険料が安い方
となります。
保険料の試算は、
- 任意継続:退職前の健康保険組合
- 国民健康保険:お住まいの市区町村の国保窓口
へ問い合わせると教えてくれます。
国民健康保険料はネット上でシミュレーションもできますが、条件を色々と当てはめる必要があるので直接問い合わせる方が確実です。
一度、各窓口へ確認してみましょう。
退職後の健康保険について、以下の記事に詳細を記載しています。
国民年金
会社員や公務員の場合は第2号被保険者として加入している国民年金ですが、退職後の状況などにより第1号、第2号、第3号のいずれかに変わります。
ご自身の退職後の状況に応じて手続きをしましょう。
退職後の状況 | 条件 | 被保険者種別 | |
パート | 再就職先で国民年金に加入できる | 第2号 | |
・パート (再就職先で加入不可) ・自営業やフリーランス | 配偶者が第1号(自営業等) | 第1号 | |
配偶者が第2号(会社員・公務員等) | 退職後の年収130万円以上 | 第1号 | |
退職後の年収130万円未満 | 第3号 | ||
専業主婦(夫) | 配偶者が第1号(自営業等) | 第1号 | |
配偶者が会社員・公務員(第2号) | 第3号 |
第1号:国民年金だけの加入者。保険料は各自で納付。
第2号:国民年金と厚生年金の加入者。保険料は給料から控除される。
第3号:国民年金第2号被保険者の被扶養配偶者(20歳~60歳)。保険料は免除される。
国民年金(第1号)への切り替え
国民年金(第1号)へ切り替える場合は、退職後14日以内にお住まいの市区町村の国民年金窓口で手続きを行います。
必要なものは以下です。
- 離職票または退職証明書
- 身分証明書
- 印鑑
国民年金(第2号)への切り替え
退職後するに再就職し、勤務先で国民年金に加入できる場合は、第2号を継続することになります。
手続きについては、再就職先へ確認しましょう。
国民年金(第3号)への切り替え
切り替える場合は、退職後14日以内に配偶者の勤務先で手続きを行います。
手続きについては勤務先へ確認しましょう。
健康保険に配偶者の扶養家族として加入する場合、国民年金も第3号での加入になります。
雇用保険(失業手当)
雇用保険に加入していた方は、退職後の状況別に以下の手続きを行います。
再就職(パートで雇用保険に加入できる場合)
退職後すぐに再就職する場合(パート先で雇用保険に加入できる場合含む)は、継続して雇用保険に加入することになります。
「雇用保険被保険者番号」を再就職先へ伝えて手続きを行います。
求職中
退職後、再就職先がなく就職を目指し活動する場合は、基本手当(いわゆる失業手当)が受給可能です。
住んでいる地区を管轄しているハローワークで申請を行います。
自己都合退職の場合は3か月の給付制限期間もありますので、申請する場合は会社から発行される離職票をもって早めに手続きに行きましょう。
- 原則、離職前2年間に被保険者期間が12か月以上ある場合が該当。
- 自己都合退職の場合は、7日間の待期期間+3か月の給付制限期間を経て支給される。
- 支給期間中は定期的にハローワークへ通い、求職中ということが認められることが必要。
- 支給期間完了前に再就職先が決まった場合、「再就職手当」が受け取れる。
自営業・専業主婦
雇用保険から給付される失業手当は、再就職を目指す方を支援する制度のため、退職後すぐに自営業やフリーランスとして働く場合や家事に専念する専業主婦になる場合は、受け取ることができません。
退職後の進路が決まっていない場合はハローワークへ!
住民税
住民税とは、都道府県や市区町村が行う行政サービスを維持するために必要な経費を分担して支払う税金です。
都道府県民税と市町村税の2つを合わせたもので、当年の1月1日時点の居住地に納税します。
前年の1月1日から12月31日までの所得に応じて金額が決まり、当年の6月から翌年の5月で支払います。
納付方法
住民税の納付方法には「特別徴収」と「普通徴収」の2通りがあります。
会社員の時には事業主が給与から差し引いて納付(特別徴収)してくれていましたが、フリーランスや専業主婦など、転職先が決まっていない場合は今後は自身で納付(普通徴収)することになります。
パートを含め退職後すぐに再就職する場合は、「特別徴収」の継続手続きを行うことが可能です。
退職月と退職後の状況によって清算方法が異なるので、ご自身の状況をご確認ください。
退職月 | 退職後の状況 | 清算方法 |
1月~ 5月 | 再就職する | ・5月分までの徴収予定額を退職時に一括徴収。 ・6月分以降は、市区町村から届く「住民税支払納付書」を再就職先へ提出し、給料控除を依頼する。 |
再就職しない | ・5月分までの徴収予定額を退職時に一括徴収。 ・6月分以降は市区町村から届く「住民税支払納付書」に従い、納税する。 | |
6月~ 12月 | 再就職する | ・市区町村から届く「住民税支払納付書」を再就職先に提出し、給料控除を依頼する。 |
再就職しない | ・市区町村から届く「住民税支払納付書」に従い、納税する。 ※退職後に退職前年分・退職年分の納付書が届く。 |
住民税は案外大きな出費になるので、退職後に出ていく費用としてあらかじめ確保しておいたほうが良いですよ
普通徴収の支払い方法とメリット・デメリット
普通徴収の支払い方は自治体により異なりますが、以下のような納付方法があります。
- クレジットカード
- スマホ決済
- コンビニエンスストア
- 金融機関・郵便局
- 口座振替
それぞれ、主なメリット・デメリットをまとめました。
ご自身に合った支払い方法で納付しましょう。
支払い方法 | メリット | デメリット |
クレジットカード | ・いつでもどこでも支払い可能 ・クレジットカードのポイントが付く | ・自治体のシステム手数料がかかる場合がある ・領収書がもらえない |
スマホ決済 | ・いつでもどこでも支払い可能 ・手数料が無料 ・アプリによってポイントが付く場合がある | ・30万円以上の場合は支払い不可 ・領収書がもらえない |
コンビニエンスストア | ・いつでも支払い可能 ・手数料無料 ・領収書がもらえる | ・30万円以上の場合は支払い不可 |
金融機関・郵便局 | ・手数料無料 ・領収書がもらえる | ・金融機関や郵便局へ行く必要がある |
口座振替 | ・手数料無料 ・一度手続きをすればその後も継続的に口座振替で納付可能 | ・事前に金融機関で自動振替の手続きを済ませる必要がある |
私は、スマホ決済を選びました。時間がかからずあっという間でした!
確定申告
給与額から様々な控除を引いた額に対して課せられる税が所得税で、給与所得者は年間の給与額を予測して毎月の給与から所得税が天引きされています。
会社は、その年の給与額が確定する12月に過不足を計算して返還や追加徴収をします。
これを「年末調整」といいます。
退職後の進路や退職時期の関係で年末調整を行うことができない場合は、個人で確定申告を行う必要があります。
ご自身のケースはどうなるのか、確認しておきましょう。
フリーランス・専業主婦の場合
確定申告は、以下の方法で行います。
- 場所:税務署へ持ち込む/郵送/e-Tax(オンライン手続き)
- 申請期限:例年2月中旬~3月中旬(毎年変更があるので、最新情報をご確認ください)
- 提出書類:確定申告書、控除証明書等
確定申告は、所得税を過不足なく収めるための手続きです。
確定申告をしないと罰則を受ける恐れもあるので、きちんと手続きしましょう。
オンラインで手続き可能なe-Taxは、自宅で完了できてよかったです!
まとめ
本記事では、退職後に必要となる公的な制度の手続きを5つご紹介しました。
公的な制度は対応期限が設定されている場合が多くありますので、各申請期限を確認して手続きを忘れないないようにしましょう。
新しい生活をスムーズに始められるよう応援しています!